原作
海堂 尊 「新装版 ブラックペアン1988」
「チーム・バチスタの栄光」の原点となるのが「ブラックペアン1988」である。
キャスト
二宮 和也:渡海 征司郎 役
天才外科医。腕のない医師を忌み嫌っていて、傲慢な性格と言動が周囲との軋轢を常に生んでいる。
通称“オペ室の悪魔”。
竹内 涼真:世良 雅志 役
研修医1年目。まっすぐな性格で、医療に熱い思いを持っている。
指導医が渡海になり、研修医生活が一変する。
小泉 孝太郎:高階 権太 役
手術用医療機器「スナイプ」を導入し、困難な心臓手術を誰もが安全に行えることを目指している。
内野 聖陽:佐伯 清剛 役
心臓外科の分野では、世界的権威。
日本外科学会のトップを目指し、理事長選にも出馬している。
市川 猿之助:西崎 啓介 役
帝華大学の教授。日本外科学会の理事長選の席を佐伯教授と争う。
スナイプを携えた高階を東城大学に派遣する。
葵 わかな:花房 美和 役
新人看護師。真面目で穏やかな性格だが、芯は強くブレない。
研修医の世良とは医師と看護師で立場は違うが、互いに悩みを相談する仲になり助け合う。
趣里:猫田 麻里 役
主任看護師。いつも昼寝場所を探し回っている。
クールで渡海との相性が良く、渡海の手術では実力を発揮する。
加藤 綾子:木下 香織 役
元看護師で現在は治験コーディネーター。
佐伯教授や、渡海らと対等なやりとりをしていく。
加藤 浩次:池永 英人 役
医療ジャーナル誌の最高権威である「日本外科ジャーナル」の編集長。
理事長選に絶大な影響力を持っている重要人物。
他
主題歌
小田和正:『この道を』
ストーリー
※ネタバレ注意
第1話
第1話
東城大学医学部付属病院、心臓外科のホープ 佐伯教授(内野聖陽)
世界で彼だけが行える佐伯式なる手術で外科学会理事長選の有力候補のひとりで学会関係者の注目を集める中、難手術で佐伯式を披露する。
一方その裏で教授の担当する別の患者の容態が急変。
佐伯の一番弟子が指示を受けながら同時に手術を行うが、指示を鵜呑みにすることしかできない一番弟子が患者を危険に陥れる。
見かねた主任看護師の猫田(趣里)の呼びかけで、他の医師たちから”オペ室の悪魔”と忌み嫌われる渡海征司郎(ニノ)が姿を現す。
「1,000万でもみ消してやるよ」
患者の命を天秤にかけめちゃくちゃな要求を突きつける渡海は瞬く間に患者を窮地から救い、佐伯式をもやってのけ手術を終えたのだった。
論文を書かない渡海(二ノ)は出世しない、だが手術の腕はピカイチ。
そんな渡海を目の当たりにした研修医の世良雅志(竹内涼真)は、指導医となった渡海になんの指導もしてもらえずにいた。
そんな中、理事長選で佐伯教授の最大のライバルとなっている帝華大学の西崎教授(市川猿之助)、その弟子 高階がアメリカの最新医療機器『スナイプ』を手土産に移籍してくる。
『スナイプ』を使えば佐伯式でしか行えなかった手術を誰でも安全に行う事ができると謳う高階。
世良(竹内涼真)の担当する患者 皆川(山村紅葉)に『スナイプ』の日本初の実証実験を行うことに。
『スナイプ』の胡散臭さを不安視した渡海は治験コーディネーターの木下に調査を依頼し、『スナイプ』には死亡例があることを指摘する。
しかし、佐伯の判断で手術は決行され、無事に終えられた。
患者の皆川が意識を取り戻すも容態は急変。
こうなることがわかっていた渡海は高階自身の確認不足によって引き起った事態であることを伝える。
修復手術を試みるも高階の手には負えない。
渡海「お前の退職金で助けてやるよ」
高階「ふざけるなっ!こんな時に何を言ってるんだ」
渡海「じゃあ、やれよ自分で!!!」
オペ室から離れる渡海
世良「いくら払えばいいんですか」
そういって渡海を呼び止めたのは世良。
僕のことを信じて手術を受けてくれた、僕が助けなくてはいけない、でも僕は医者のくせになんにもできない。
世良「お金で助けてくれるなら僕が払いますから、お願いだからこの人を助けてください」
世良「お願いします」「お願いします」「お願いします」。。
渡海「一億な。払い終えるまで、お前は俺のために一生ここで働け」
そういって患者の命を救った渡海はオペ室を後にする。
第2話
心臓外科に急患が入り、当直の世良は渡海とともに緊急手術を行う。
手術終盤、渡海が突然手を止める。
渡海は最後の縫合を世良に行うように指示する。
心を落ち着かせなんとか縫合を終えた世良がペアンを外したその時、縫合部から出血が。
世良からペアンを取り上げる渡海。
渡海「人、一人殺したな」「じゃま」
そう吐き捨て、今回も渡海が患者の命を救った。
再び『スナイプ手術』を行うという高階
これを佐伯は高階以外が執刀することを条件に承諾する。
スナイプ手術に難色を示す患者の小山(島田洋七)に高階は治験コーディネーターの木下を当てる。
今回の『スナイプ手術』執刀医は関川、世良は第二助手に選ばれ、
オペ看には猫田、そして新人の花房も参加することに。
高階は渡海のもとについた研修医がみんな辞めていることを指摘する。
渡海「その医者が未来で殺すはずだった患者、それを俺は助けたんだよ」
お互いの辞表と退職金をかけて、世良が辞めるかどうかの賭けを持ちかけ、
高階は世良の未来を信じる。そう渡海に告げた。
世良がミスを引きずって書いた研修先移動希望が渡海に見つかってしまう。
渡海「泣くぐらい怖いんだったら、もう辞めろ」「じゃまだ」
猫田「自分が一番怖いとでも思ってるの?」
猫田のこの言葉に一番怖いのは患者であることに気づいた世良は腹を決めて手術へ向かう。
『スナイプ』を使えば誰でも高難易度の手術を行える。
高階の理想を現実にするための大事な手術が始まった。
しかし、初めての『スナイプ』の扱いで人為的なミスが発生してしまう。
患者の命の危機に世良は高階への助けを求めるが佐伯がそれを許さない。
佐伯「ここを出ることは許さん、その時は二度とそのおもちゃを使えないと思え」
一度は佐伯の制止に従った高階だったが世良の必死の説得にオペ室へ向かう。
脱落した人工弁の回収作業に取り掛かるが、出血を起こし回収ができない。
渡海「一千万でもみ消してやるよ、だから辞表を書け」
患者の体力がもたない、そんな状況で渡海はたぐいまれなるスピードで修復を済ませ人工弁の回収もこなしてしまう。
すでに患者の心臓にかかる負担は計り知れないが、ここから渡海は佐伯式を行い僧帽弁形成も間に合わせてしまう。
そして最後の縫合をまたも世良に行うよう指示する。
皆が不安視する中、世良は縫合を行い今度は無事成功させた。
世良「ほんとにこの病院を出て行かれるんですか?」
高階「私のことはいい、君はどうなんだ」
世良(竹内涼真)は研修先移動願を破り捨てて見せた。
高階「ありがとう」
手術件で渡海に借りを作った高階だったが
世良が辞めなかったことでその借りはチャラになった。
第3話
『スナイプ』での結果を出せていないことで帝華大学の西崎教授に釘を刺されてしまう高階(小泉孝太郎)。
学術誌に掲載された論文の影響力を現す数値、インパクトファクター
理事長の座を争う佐伯教授(内野聖陽)と西崎教授(市川猿之助)はこのインパクトファクターで上回る必要があり、
現在は佐伯教授が佐伯式で多くのインパクトファクターを手にしたことで、西崎教授は後れを取っている。
「スナイプ手術」の成功は西崎教授のインパクトファクターに大きく関わる。
次の「スナイプ手術」が決まらないでいるところに治験コーディネーターの木下が患者を連れてくる。
しかし検査から大きな問題が発覚し、高階はスナイプ手術は困難であると判断した。
「君では無理、ということか」
佐伯教授は今回の手術を渡海に行うよう指示をし、高階は助手としてサポートすることに。
手術当日
「やめた」
そういってオペ室を出ていく渡海。
後の検査でしか高階がわからなかった危険性を、渡海はわずかな心臓の動きから察知したのだった。
高階と世良は時間をかけて「スナイプ」の新たな挿入位置を探り、ようやく見つけ出したルートだったが渡海にはとっくにそのルートがすでに見えていた。
佐伯教授は高階に西崎を切り、自分のもとに着かないかと話を持ち掛ける。
渡海が執刀する「スナイプ手術」当日、手術中の渡海に出張中の佐伯教授の担当する患者の容態が急変したと
入電が。
現在、病院内にふたりのオペを行える医者は渡海の他にいない。
渡海は助手の高階に現在進行中の「スナイプ手術」を引き継ぐように指示をし、急変した佐伯教授の患者のもとへ向かう。
高階の方にも指示を出しながらのふたり同時手術を行う渡海。
急変した佐伯教授の患者の手術、通常真ん中から開胸するところなぜか渡海は難易度の上がる左から開胸を行うという。
高階が引き継いだ「スナイプ手術」は渡海の離脱後、不整脈のせいでさらに難易度が上がり、高階の腕ではこれ以上手術の続行が不可能という窮地に陥っていた。
そこへ佐伯教授の患者の手術を中断した渡海が再び現れ、今度は高階に佐伯教授の患者の方を引き継ぐように指示する。
佐伯教授の患者の方も佐伯式を行わないといけないほどの難解な状態、高階に勤まるとは思えない。
「スナイプを使え」
渡海はそのために難易度の上がる左からの開胸を選択していたのだった。
これにより史上初のふたり同時「スナイプ手術」を渡海、高階のふたりで無事成功させたのだった。
渡海が救った佐伯教授の患者は日本外科ジャーナルの編集長で、佐伯教授の欲するインパクトファクターに大きく影響力をもつ人物。
今回の事で佐伯教授は学術誌に「スナイプ」の論文を掲載できるかどうかを左右できるほど大きな力を手に入れたのだった。
第4話
第4話
2件の『スナイプ手術』の成功により東城大は『スナイプ』推進に舵を切る
症例をかさね論文完成間近の高階だったが佐伯と西崎との間で揺れていた。
帝華大学時代に担当していた7才の少女の受け入れを佐伯に頼む高階。
佐伯は論文の最高責任者に自分の名前を入れることを条件に受け入れを承諾する。
佐伯に執刀するよう指示されたが渡海はこれを断る。
『スナイプ』に追い風が向いていることで佐伯は『スナイプ』に負けた。
渡海「もう使えないんだったら、くださいよブラックペアン」
ここにきて初めて渡海は佐伯に対立する姿勢を見せる。
佐伯「今後一切オペに関わらなくていい、出ていきなさい」
渡海は住み着いている仮眠室を1か月以内に出ていくよう言われてしまう。
渡海が執刀を断ったことで、成功率が5%にも満たない高難度の手術を行うこととなる高階。
高階「理論上は可能なんだ、やるしかない」
寝る間も惜しんで手術の検証を行う高階からこの手術へのただならぬ想いがうかがえる。
ある患者の容態急変での緊急手術、悪条件の為スナイプは使えない
そこで渡海に執刀を呼びかけるが、渡海は教授にオペをするなと言われているからとオペ室に向かわない
この窮地に現れたのは、佐伯教授だった。
佐伯の施術を目の当たりにして改めてすごさを痛感する世良。
同時に今回の手術を受けなかった渡海に疑問を感じてもいた。
すでに論文は書き終えているのに高難度の今回の手術を行う理由を尋ねる渡海。
高階は今回の患者、小春ちゃんを救いたい一心で目を付けたのが『スナイプ』である事を打ち明ける。
自分の腕では小春ちゃんを救え得ないと悟った高階は渡海にスナイプでの執刀を懇願する。
渡海「そのスナイプでは不可能なんだよ」
渡海は治験コーディネーターの木下からスナイプの設計図を入手して
カテーテルを使用した新型スナイプでの手術を計画していた。
この計画を受けて高階は佐伯教授に今回の手術、渡海が行うことを願い出る。
佐伯の承諾の元、新型スナイプによる小春ちゃんの手術が行われる。
渡海はカテーテルの扱いも一級品で、その渡海の腕に加えて
小春ちゃんの状態を誰よりも把握している高階というブレーンの最強コンビで手術は無事に成功した。
手術を終えた渡海に
佐伯「余計な心配はせず、お前は私を支えてくれればいい、私を信じろ」
佐伯が告げる
高階「今回の要求は?」
渡海「貸しといてやる、あんたにはいずれ金じゃないものを払ってもらう」
渡海「信じるな、佐伯清剛をしんじるな」
渡海は高階にそう忠告した。
ついに医学誌にスナイプの論文が掲載された。その論文の末尾にあったのは西崎の名前だった。
高階「インパクトファクターは私と西崎教授のものだ」
高階「これでもう東城大に用はない」
第5話
小春ちゃんの血液検査を申し出る渡海。
佐伯は日本外科ジャーナルに出向き、スナイプに関する論文の撤回を要求する。
血液検査の結果、中隔感染が見つかり、西崎は結果を隠し、小春ちゃんを退院させるように指示する。
指示を受けた高階は、花房と世良ふたりの訴えを受け、隠ぺい実行を踏みとどまる。
高階はこれにより論文は白紙に戻され、同時に西崎の後ろ盾も失ってしまう。
小春ちゃんの中隔感染の治療にオペは不可能、薬物治療で様子を見る。
治療方針が決まろうとするなか、高階は城東大にはないダーウィンを使った手術を帝華大で行うことを提案する。
その提案に反対した佐伯は高階を小春ちゃんの主治医から外し、主治医には渡海を当てる。
渡海は治験薬による投薬治療を行うが、この治療法では根本的解決にはならないと高階は意見する。
主治医から外された高階をまたも花房、世良のふたりが激励する。
そこへ、容態悪化の患者が出たと報告が入り緊急手術へ。
患者の容態からオペは不可能と思われたとき、
日本では例のない手術を自身の手で行うという高階
『必要ならルールは変えろ』
いつになく強気な高階に渡海は助手に回る。
高階はこれを無事やり遂げる。
手術を終えた高階は、
高階「小春ちゃんにもうすぐ戻ると言っておいてくれ」
と花房に自分の決意を伝える。
高階は西崎に頭を下げ、転院ではなく、ダーウィンを借りたいと頼む。
西崎は自身の部下でダーウィンの専門医、松岡が手術をすることを条件にこの頼みを承諾する。
高階は現在の小春ちゃんの主治医である渡海にダーウィンの資料を手渡す。
しかし、渡海は手術直前まで治験薬の投薬を続ける。
小春ちゃんのダーウィン手術当日。
無事に手術を終えられるかと思われたその時、体の小さな子供を想定したダーウィン使用の想定が甘く、機械トラブルを起こす。
その窮地に事前に高階に手渡されていたダーウィンの資料に目を通していた渡海が現れる。
村田のミスのせいで出血が起きている。
渡海の投薬していた治験薬は増血剤で、輸血の出来ない小春ちゃんの体質を考慮して小春ちゃん自身の血液を輸血用に準備していたのだ。
すべてを見越した渡海の準備のおかげもあり、
高階、渡海のふたりでダーウィンの手術を引き継ぎ、手術は無事成功した。
この手術は結果的に西崎の鼻を明かすこととなった。
西崎はミスを犯した部下を切り、再び高階に声を掛ける。
国産ダーウィンの論文を東城大で書くよう新たに指示するのだった。
第6話
佐伯の元に届いたペアンの写ったレントゲン画像。
佐伯「ブラックペアンの秘密は守られているようだな」
看護師長の藤原に何やら指示を出す佐伯。
病院に訪れた渡海の母と遭遇する花房
手術中の渡海を花房と共に過ごしているとき、渡海の母は突如倒れる。
東城大に搬送され、緊急手術の末何とか一命は取り留めた。
国産ダーウィン『カエサル』日本初の治験を東城大で行うことに。
この『カエサル』の成功によるインパクトファクターはこのプロジェクトリーダーである帝華大の西崎ものとなる。
自分にメリットがない佐伯は『カエサル』担当には高階を据える。
渡海母は術後の検査の結果、緊急手術時の腫瘍の見落としが発覚した。
渡海「病院に責任を取ってもらいましょう」
そう言って2,000万を要求すると言い出す。
場を収めようと自分がオペをすると提案する佐伯、渡海はこの提案すらも突き返す。
高階は国産ダーウィン、『カエサル』の治験を早急に行うよう西崎に圧力をかけられる
これを受け高階は渡海の母に『カエサル』の治験を進め、渡海母はこれを承諾。
時を同じくして崩落事故により東城大に多くの急患が搬送されてくる。
渡海「1人も殺すなよ、動け!」
人手が足りないなか研修医の世良も駆り出される。
普段、渡海にしごかれている分ほかの研修医も一目置くほどの成長を見せる世良。
『カエサル』の治験に母が承諾したことを知り
渡海「俺はテクノロジーを信用していないんだよ」
勝手に話を進めた高階に渡海は詰め寄る。
容態急変により手術が早まった。
事故に使用したせいで輸血用の血液が残りわずか、そのため出血の少ない『カエサル』が効果的ではあるが、少しのトラブルも許されない状況。
無事に切除を終えた高階だったが、少量の出血があることが発覚。
手術を続けるためには輸血用の血液が足りない。
佐伯「私では嫌だと断ったんだ、ならお前がやるしかないな」
東城大の規定で身内の手術は行ってはいけない為、処分は免れない。
渡海は迷うことなくオペ室へ。
『カエサル』をどかすよう指示を出し自ら手術を行う渡海。
血が足りない問題は、渡海母の血液型と一致する高階の血液をその場で使用することに。
渡海は無事、母の手術を終えたのだった。
母親を危険に晒したことを謝罪する高階。
身内の手術をしてはいけないという決まりを破る形になった渡海だったが、
その問題は、渡海母が手術の承諾書に追記した、「渡海に執刀をお願いしたい」との要望のおかげで不問となった。
今回の『カエサル』での手術のデータは西崎の元で解析され、帝華大での論文作成の材料となり、西崎をインパクトファクター獲得へと近づける。
佐伯の執刀を反対した理由を尋ねる高階
渡海「あいつは俺の父親を裏切った」
渡海はそう答えその場を離れる
第7話
身内の手術を行ったことで処分を受けることになった渡海は、
渡海「倍の報酬で帝華大から誘いを受けた」
と、帝華大に移籍してしまう。
どこから入手したのか、東城大にいる治験に適した患者を指定した西崎の圧力により2度目の『カエサル』治験が決まる。
対象患者は治験コーディネーター木下の看護師時代の同僚、山本祥子だった。
彼女の口から木下には看護師時代、医療ミスの責任を押し付けられた過去があったことが明かされる。
その時、彼女は木下の不利になる証言を強要されたのだとか。
今回『カエサル』手術の担当は黒崎。
高階の推薦により世良もこの治験に参加することに。
黒崎は患者がアレルギーを持つペニシリンを投薬するよう誤った指示を出す。
これに気づいた木下が投薬を止めこれを救う。
このミスを病院側は看護師の聞き間違いだと処理する。
一度は過去のしがらみから担当から外れていたが、この一件により治験コーディネーターとして復帰する。
渡海は帝華大でもオペでの医師のミスを退職金の1,000万でもみ消す。
渡海「腕のない医者は死んだ方がいい、お前の論文に書いていいぞ」
『カエサル』手術当日、木下も見守るなか手術は進められる。
予定していた手術を終えたところで高階がエコーにより、血栓を発見。
医院長、黒崎は予定にない血栓の摘出手術に反対。
しかし、高階は患者の命に関わると、手術を強行。
無事に手術は成功し、木下はそっと胸を撫で下ろす。
帝華大に患者リストを流していたのは看護師の宮元だった。
宮元は東城大に入院する父を人質にとられ、帝華大に情報を流すよう支持されていた。
宮元に指示を出したのは医院長の守屋。
佐伯は守屋の処分緩和を倍の給料で渡海を東城大に戻すという条件の元で了承する。
西崎は論文の完成に向け、佐伯に対しなにか手を打ったと高階に告げる。
花房は世良に、渡海の住み着く仮眠室でペアンの写ったレントゲン写真を見たことを打ち明ける。
第8話
東城大での帝華大主導の『カエサル』手術を行いたいと申し出る西崎。
佐伯はこれを、西崎自身の手で執刀することを条件に承諾する。
とある手術で執刀する佐伯がメスを落とすというミスが起こる。
これを咄嗟にオペ看の藤原看護師長が自分のミスだと謝罪する。
モニター越しに見ていた世良は本当に看護師長のミスなのかと疑問死する。
帝華大主導の『カエサル』手術、東城大からもオペのチームに入ることになり希望者を募る。
これに手を挙げたのが高階、そして渡海であり、渡海は世良にもチームに入るよう指示する。
さらに渡海は猫田までオペ看として起用。
渡海が帝華大移籍時にミスを揉み消した医師から入手したIDを利用して、イイヌマタツジ という患者を探していたことを問い詰める西崎。
手術でミスを起こして以降、外出の増えた佐伯を尾行するよう渡海に指示される世良。
世良は花房と共に佐伯の尾行を試みる。
西崎は高階に、渡海を今回のチームから外す策を練るように支持する。
世良は尾行の結果を渡海に報告。
佐伯は心臓を悪くしている可能性が見えてくる。
世良は花房が以前目撃したペアンの写ったレントゲン写真が佐伯のものなのではないかとの仮説を立て、花房に佐伯のレントゲン写真を調べて貰うよう頼む。
東城大のデータベースを調べる花房だったが、佐伯の名前で検索をかけても何一つデータが残っていない。
その報告を受けた世良は、以前、西崎教授と渡海の会話の中で耳にした、イイヌマタツジ で検索して見てほしいと伝える。
花房がイイヌマタツジと入力し検索をかけようとしたその時、そこに猫田が現れ
猫田「渡海先生の邪魔をするなら、あなたを潰すことになるわ」
そう告げられる。
『カエサル』のお披露目手術当日。
佐伯の姿が見えずザワつく院内。
今回手術を行う患者は候補に上がっていた3人の患者ではなく、急遽佐伯教授が手術を行う予定だった患者に変更されたことが明かされる。
しかし、西崎に佐伯の患者が『カエサル』に適していることを伝えたのは渡海なのだという。
急遽患者が変更になったことで、予定していた患者でのシュミレーションを行っていた高階、そして渡海ら東城大のメンバーはオペさら外されてしまう。
帝華大メンバーのみで始まった手術はあっという間にミスが起こり、容態を急変させてしまう。
いつものように渡海が助けに入る。
しかしそこへ佐伯が現れ執刀すると言い。
渡海「じゃま」
渡海へ言い放つ。
佐伯は心臓に病を患っているとは思えない手捌きであっという間にブラックペアンを登場させる。
『カエサル』お披露目の為に集まった大観衆に佐伯の手腕を見せる結果となってしまったことに憤慨する西崎。
今回佐伯が救った患者の父が経営している病院に佐伯は通っていた。
そこには佐伯が東城大には知られたくない患者がいる。
だからこそ何度も足を運び、その患者を見ていた。
患者の父に佐伯が見ていた患者が一体何者なのかを問い詰める渡海。
時を同じくして、手術を終えた佐伯が倒れる。
イイヌマタツジ 一体何者。
第9話
佐伯教授の手術を行えるのは渡海しかいない
しかし渡海の姿は病院にない
聞き出したイイヌマタツジを探しに病院へ突撃する渡海だったが、倒れる直前に佐伯はイイヌマタツジを退院させるよう指示していた。
意識を取り戻した佐伯に
渡海「私が執刀しますよ」
と申し出る渡海
佐伯「断る」
この申し出を一蹴してみせる佐伯
渡海にしかできないと思われた手術を『カエサル』で行うよう命令する。
裏切り者として高階への当たりはきつく、今回の佐伯教授の手術チームに彼の名前はない
高階は西崎に今回の手術の為に、これまでの『カエサル』のデータを貸してほしいと願い出る
渋る西崎に論文の完成を条件に交渉するも、なんと西崎は裏で別の人間に論文を書かせており、高階は西崎に見捨てられてしまった。
東城大、佐伯外科のメンバーが手術の準備を進める中、執刀医の黒崎は佐伯の命を救いたい一心で高階の協力を仰ぐことになる。
前例のない手術になるため、一同はシュミレーションを続ける。
高階は渡海にも協力を求めるが、
渡海「俺にメスを持たせればいい」
と『カエサル』での手術に協力するつもりは無い様子。
渡海に手術に協力するよう
世良、花房がペアンの写ったレントゲン写真
黒崎の考えは一転する
黒崎の口から渡海の父、渡海一郎について語られる。
渡海一郎は医療過誤を起こし、東城大を除籍になった。
黒崎から何を聞いたのか猫田に詰め寄られる花房。
その猫田を制止
黒崎に仮眠室を追い出された渡海は世良の住む寮に押しかけ米を炊く。
そこで今回の手術チームに入った世良に対して、日本外科ジャーナルへの突撃を進められる。
渡海「バカなやつだと怒られてこい」
渡海にそう言われた世良は、日本外科ジャーナル編集長池永に真っ直ぐな思いを伝える。
佐伯教授の命を救いたい、その真っ直ぐな思いを。
世良「僕も医者でありたいんです。」
この思いは池永の心を動かし、似た症例のダーウィン手術の論文を手配してくれると約束してくれた。
この論文を元に手術のプランが決まった。
佐伯の様態が急変し、十分なシミュレーションを行えていない中での緊急手術となった。
この知らせに渡海はオペ室には向かわない。
1時間のタイムリミットに高階達手術チームは苦戦を強いられ、残り時間15分のところで絶望する。
渡海は医局にあるシュミレーション用のカエサルとオペ室のカエサルを繋ぎ遠隔操作での手術を行う。
渡海「カエサルが突っ込めないなら、吸盤で心臓を引っ張り出せばいい」
遠隔操作中の渡海の指示は高階にしか聞こえておらず、渡海の指示を高階が丸々伝える。
何故か口調も変えずに指示を伝える高階笑
窮地を乗り越えた渡海は、このままカエサルで佐伯式を行うという。
黒崎は高階の裏に渡海がいることに気づきながらも、黙認し手術を続ける。
渡海「手の方が100倍楽だ」
渡海は無事に手術を成功させた。
日本外科ジャーナルに帝華大の論文が乗った。
と、同時に高階がまとめた論文も佐伯教授の名のもとに掲載された。
佐伯「ブラックペアンを使えるのは世界に1人だけだ」
佐伯「今のお前にいざ譲る訳には行かない」
渡海「なら奪い取るだけだ」
続けて渡海は佐伯になにか呟いて
腑的に笑った
最終話
渡海「ちなみに教授の心臓まだ、完治してませんから」
手術できるのは自分だけだと、イイヌマタツジの居場所を聞き出そうとする渡海。
佐伯は理事長戦まで手術はしないとこれを拒否する。
主治医として渡海も理事長戦に同行することに。
イイヌマタツジ の容態急変、誰にも伝えられず1人慌ただしく駆け回る花房。
その花房を見かけた高階は特別個室に入院中のイイヌマを処置する。
理事長戦前夜、決起集会の場で佐伯が倒れるも、渡海が応急処置を。
理事長戦当日の早朝、世良の監視の目を難なくかいくぐりホテルを抜け出した渡海はイイヌマタツジの病室に押しかける。
渡海はイイヌマに体の中にペアンが眠っていることを伝える。
イイヌマと話をした渡海は、佐伯が医療過誤を父親に押し付けたという疑念が確信に変わる。
イイヌマの容態急変により、渡海は佐伯がいない今、ペアンの摘出手術を決行する。
ペアン摘出まであと少しというところでオペ室の扉が開く。
そこには理事長戦にいるはずの佐伯の姿が。
渡海が消えたことを知った佐伯は、ドクターヘリで駆け付けたのだ。
佐伯「やめろ!」
渡海「さよなら、佐伯せいごう」
そう言って、渡海はペアンを摘出した。
しかしその時、出血が起こる。
佐伯「地獄の扉を開けたな」
佐伯「どけ、渡海。私が処置をする」
佐伯の口から真実が語られる。
イイヌマさんの手術を行った時、そのとき起こった事故の影響で、オペに必要な機材が不十分だった。
出血が止まらなかったことで佐伯は意図的にペアンを体内に残したまま処置を終えた。
そのあと佐伯はすぐにアフリカの医療支援に行っており、その不在時にイイヌマが休館で運ばれその対応をしたのが渡海の父、一郎。
渡海の父は、イイヌマの体内にペアンがあることを確認した。
アフリカにいる佐伯に知らせを送ったが、連絡の困難な中で佐伯は一言「ペアンを取り除くな」との電報を送った。
渡海の父は必要な処置であったことを悟り、再びペアンを残したまま処置を終えた。
しかし、レントゲンが見つかってしまい、医療過誤が指摘された。
渡海父は佐伯のためにそれ以上の反論はせず東城大を去った。
佐伯が帰国した時には、渡海父は病でなくなっていた。
イイヌマに眠ったペアンを摘出できる医者は自分しかいないという理由で真実を公表することができなかったという。
現にいま渡海ですら無事にペアンを摘出することはできなかった。
佐伯が手術の際いつも使っていたブラックペアンは自分自身への戒めだという。
佐伯「さらば渡海一郎」
そういって、佐伯はブラックペアンをイイヌマの身体に残し処置を終えた。
佐伯「医者は完ぺきではない」
渡海は黙ってオペ室を後にする。
ブラックペアンは特注のカーボン製、レントゲンには写らず、火葬されれば一緒に灰になる。
その言葉を聞いて高階は縫合を行う。
佐伯「ブラックペアンは役目を終えた」
その時、佐伯は意識を失う。
世良はすぐに渡海を探す。
一方、理事長戦は佐伯が戻らないことで劣勢ムード。
この窮地に、日本外科ジャーナルの池永がスピーチを行う。
高階が必死の処置を行うが佐伯は心停止。
真実をひとり受け止められずにいた渡海が世良の留守電に気が付く。
佐伯「ただ人を救え、お前にすべてを託す」
佐伯が意識を失う寸前に放った一言を聞き、渡海はオペ室へ向かう。
世良「まだ終わってません!」
そういってオペ室を飛び出した世良の前には渡海が。
渡海「じゃま」
渡海が処置を開始する。
皆の必死の呼びかけにこたえるかのように佐伯の心拍は再開した。
池永のスピーチにより佐伯の想いが語られ、最終的に理事長戦を制したのは佐伯だった。
佐伯「どうして助けた」
渡海「そのままでいい、普通でいい、医者は患者のことだけ考えろ救え、ただ人を救え、俺の尊敬する医者の言葉です」
この言葉を最後に、渡海は病院を去る。
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